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カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌは考える。 妹はどうしているだろうか。 今頃は使い魔を召喚して、喜んでいるだろう。 今はそういう時期。自分の相棒となる使い魔を召喚する時期。 だが妹より年上のカトレアは未だ使い魔を召喚していない。 何故なら学校に行ってないからだ。 理由は引きこもりや、学校に行ったら負けかなと思っているのではなく、体が弱いために行けないのだ。 だから彼女は考える。学校に行っている妹の事を。 そして妹がどんな使い魔を召喚したのか想像している内に自分も使い魔を召喚したくなった。 本来はいけない事だが召喚だけして契約はしなければバレないだろう。 彼女を責める事は出来ない。彼女は自分の領地(それでも結構広いが)から出たことがないのだ。 このちょっとした好奇心と悪戯心から召喚のための魔法、サモン・サーヴァントを唱える。 使い魔が出てくるはずのゲートが開いた。何故か下に向かって。 そしてそこから現れたのは人間の男だった。それも超スピードで落ちてきた。 ぐしゃっと言う何かが潰れた様な音が鳴った。潰れたのは召喚された男らしい。 「え?え?どういうこと?」 おそらくは落ちている最中に召喚されたのだろうがカトレアにはそんな事知る由もなく、ただ混乱していた。 混乱から解けたカトレアはとりあえず治癒の魔法を男にかける。まだ息があったからだ。 そして男の傷はふさがって行く。 間に合った事に安堵したカトレアはちょっとした気の緩みから後ろに倒れこむ――が意識を取り戻した男が間一髪で支 えたので倒れなかった。 「ごめんなさい、体が弱くて…」 「そうでしたカ、どうすれば良いデスカ?」 「とりあえず…お屋敷まで運んでください」 「お屋敷?ああ、あれデスネ?」 男はカトレアを担いだままヴァリエールの屋敷に向かって歩きだした。 「そういえば…アナタお名前は?私はカトレアよ」 「トニオ・トラサルディーといいます。トニオと呼んでください」 屋敷に入り、カトレアの案内で部屋までたどり着く。 そして部屋のベッドに寝かせ、話が出来そうな状態になったのを確認してから質問を始めた。 「具合が悪いところスミマセン。ここは何処なのでショウ?ワタシはある鳥の卵をとるために崖から飛び降りたはずな のデスが」 「だから落ちてきたんですか?」 「ハイ、それでイキナリ地面が現れたのでぶつかって大怪我をしたはずなのですガ…」 「私が魔法で治したんです。怪我をしたのも私のせいですけど…」 「そうでしたカ、助けてくれてアリガトウゴザイマス」 カトレアは驚いた。自分が怪我をさせたというのにトニオは怒らなかったのだ。 「何かお礼をしたいデス。ちょっと両手を見せてくだサイ」 「え?あ、はい」 「フーム。体が弱いと言っていましたがソウトウですね」 「わかるんですか?」 「ワタシは両手をみれば肉体全てがわかりまス。ちょっと厨房をお借りしマス」 普通だったら初めて会った人間にそんな事はさせないのだが トニオは自分が召喚し、そして怪我をさせた人間だ。だから厨房を使わせるくらいなら、とカトレアは使用許可を出した。 数時間後 「出来ましタ!どうぞ召し上がってください」 料理が完成したらしい。 カトレアはちゃんと頂きますをしてから料理を食べた。 食べ終えたカトレアの体に異変が起こった。 体中にとてつもない痛みが走るのだ。 「こ…れは…?」 「落ち着いテ!痛みは一時的なものでス」 そしてトニオの解説が始まった。要約するとこれで健康になるらしい。 眉唾な話だったがカトレアは信じた。 数時間前に会ったとばかりだというのにトニオに奇妙な信頼を置いていたからだ。 そして痛みが収まり、カトレアは自分の体が健康になった事を実感した。 「すごい…これは先住魔法?」 「フム、実のところワタシにもよく分かってないのですが…多分そうでしょう」 「はあ…でもスゴイですね。こんな事ができるなんて!」 「スゴイ?…ワタシが?」 「そうですよ。こんな事他に出来る人はいませんよ。」 「……アリガトウゴザイマス」 トニオの目には涙が浮かんでいた。彼の料理は気味が悪いといわれ、認められなかったのだ。 それをカトレアは認めてくれた。それが嬉しかったのだ。 カトレアもまた泣いていた。自分のどうしようもない弱点であった原因不明の病気をトニオは治してくれたのだ。 それはつまり『普通の生活をする』という。彼女の望みを叶えた事になる。 互いに互いの最大の望みを叶えた。そんな二人が恋に落ちたのは当然だったかもしれない。 そしてトニオはヴァリエール家に料理人として雇われ、徐々にラ・ヴァリエール公爵に認められることになる。 パール・ジャムが先住魔法という事になっているため彼は普通の平民ではなく、元貴族かもしれないと言う事と 誰にも治せなかったカトレアの病気を治したと言うことからあまり話はこじれなかった。 最後にヴァリエール家で自分の子供達に囲まれながら寿命を迎えた彼の最後の一言をもってこの物語を終えようと思う。 「ここはもしかしたら異世界かもしれませン」 それは最初に気づこうよ、トニオさん。
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「ここは何処だど? なんで月が2つあるど! 理解不能! 理解不能!!」 私の召喚した使い魔はとても五月蝿かった。 「五月蝿いわね!貴方を私が召喚したの! わかる?」 「あっ『理解可能』」 只の平民だと思ったらかなり反抗的な使い魔だった。 「母ちゃんが家で待ってるど! ゴン太だって家にいるど!」 だけど、結構一本筋が通ってた。 「お前が謝るべきだと! お前が二股してたから彼女達が傷ついただと!」 そして凄まじく強かった。 「あっありのままに起こった事を話すぜ…… 『1対1だと思っていたら平民の体から100体ほど幽霊が出てきてギージュに襲い掛かった』 何言ってるんだてめえって顔をしてるが催眠術や超スピードじゃねえもっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ」 でもちょっと欲深い 「うーそれを売れば幾らになるど………」 だからこれは破壊の杖って危険な武器なの! そして恐ろしく射程の長く数多い『槍』達を持っていた。 「馬鹿な……奴からここまで何メイルあると思っているのだ……」 「シシシッ……わるどミツケタゾ!」 ワルドは絶望的な顔をして、その『幽霊』達を見上げたのだった。 「500体の数は卑怯よ……」 ルイズは自分の使い魔を見てげんなりしていた。 4部より矢安宮重清を召喚。
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反省する使い魔!-1 反省する使い魔!-2 反省する使い魔!-3 反省する使い魔!-4 反省する使い魔!-5 反省する使い魔!-6 反省する使い魔!-7 反省する使い魔!-8 反省する使い魔!-9 反省する使い魔!-10 反省する使い魔!-11 反省する使い魔!-12 反省する使い魔!-13 前編 反省する使い魔!-13 後編 反省する使い魔!-14
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春の使い魔召喚。それはトリステイン魔法学院で二年生に進級する為の儀式である。 その使い魔召喚が出来ないと二年生にはなれないのである。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求めうったえるわ!我が導きに、答えなさい!」 桃色の髪の少女、ルイズは 自らの使い魔を呼び出すために四十三回目のサモン・サーヴァントを唱えた。 そして四十三回目の爆発を起こす。 だが今回は今までの四十二回とは違っていた。 爆発した場所に何かがあったのだ。 ルイズは遂に召喚に成功したのかと思い顔を輝かせた…がそれも長く続かなかった。 そこにいたのは気絶している人間だったのだ。それも着ている服からして魔法を使えない『平民』だろう。 魔法を使えない『平民』は、魔法を使える『メイジ』に逆らえない。魔法はそれほどまでに強力なのだ。 ただの平民を召使にするなら何の問題もなく、雑用等をやらせれば良い。 しかし使い魔とはただの召使ではなくメイジの一生の相棒でもあり、様々な能力を要求される。 普通は動物や幻獣が使い魔となり、人間以上の能力で人間にはできない事をする。 だがメイジと平民ではメイジの方が力が上、そしてメイジにはできない事が出来る者が使い魔としては理想なのだ。 つまり、平民には使い魔にする価値が無いのだ。 それ以前に平民を使い魔にするなんて事は前例すらない。 故にルイズはやり直しを求めた。 「平民を使い魔にするなんて聞いたことありません!やり直しさせてください!」 だがその必死の思いもあっさりと却下される。 「春の使い魔召喚は神聖な儀式です。やり直しは認められません」 「そんな…」 「早くしてください。そろそろ新しい育毛剤が届く頃なので早く試してみたいのです」 つい本音を出してしまう儀式の責任者(ハゲ)。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 そして気絶している男にキスする。 これがコントラクト・サーヴァント。 召喚した使い魔に使い魔のルーンを刻み 主人の都合のいいように記憶までいじってしまう極悪非道な魔法だ。 召喚された男の左手にルーンが刻まれる。 「はい、ルーンが刻まれましたね。じゃあ今日は終了!解散です!」 そう言ってろくに確認することなくトリステイン魔法学院の自分の部屋へさっさと戻っていった。 周りの生徒も平民を召喚したルイズをからかいながら帰っていった。 気絶している男と残されたルイズは何とかその男を寮にある自分の部屋まで運んでいった。 途中、寮の入り口でバッタリ会ったギーシュに部屋まで運んでもらった。 だがギーシュの真の目的は女子寮に正々堂々と入ることだったらしく 運び終えた後、それに気づいたルイズに白い目で見られた。 日が落ち、男がルイズの部屋で目を覚ましたのに気づいたルイズは 「気がついた?」 と声をかけた。 だが男は状況がよく分かっていないらしく(まあ当たり前だが) 「ここは何処なんだ?そしてお前は誰だ?」 と言った。それを聞いたルイズは言葉遣いや『お前』と呼ばれた事に腹を立てながら 自分は魔法を使える貴族で男は自分の使い魔であることを説明した。 男はその話の内容や、ふと目に付いた二つの月からここが異世界である事を理解した。 ちょっと横を向いて歩いていたらいつの間にか目の前に変な鏡があってその中に入ってしまい意識を失った。 そして気がついたら異世界だった。 その事をルイズに話して元の世界に帰る方法を聞いてみても 「そんな方法無いわよ」 と言われただけだった よって男はある『決意』をした。 「どうせアンタは使い魔らしい事は何も出来ないだろうから出来る事をやらせてあげるわ掃除、洗濯、雑用分かった?」 「分かりました。ご主人様」 「いい返事ね。あ、そうそう一応これも聞いとかなきゃね。私に忠誠を誓う?」 「もちろんです」 主人のためならなんでもする。そんな態度だった。 「使い魔なんだしアンタは床で寝なさい、毛布くらいは恵んであげるわ、感謝しなさい」 「ありがとうございます」 ルイズは自分の使い魔の最初の反抗的な態度が無くなり、忠誠を誓った事に気分を良くし、服を着替え眠った。 男には何か策があって床で寝ているのか? なにもない! 見よ! このブザマな主人公の姿を 男は硬くて寝心地の悪い床で粗末な毛布を被っている だが! だからといって男がこの物語の主人公の資格を失いはしない! なぜなら!… 男はルイズが寝たのを確認し、そして部屋を物色して金目の物をいくつか盗みルイズの部屋から抜け出した! まぎれもない主人公!(テーマが主人から逃げる使い魔のため) 主人公の資格を失うとすれば生きる意志を男がなくした時だけなのだ! 部屋を抜け、階段を降り、ホールらしき所に出た。 そこに金髪の男がいた。その金髪は男を見つけると 「おや?ミス・ヴァリエール(ルイズの事)の使い魔じゃあないか」 男には知る由も無いが、この貴族こそが男をルイズの部屋まで運んだ貴族、ギーシュ・ド・グラモンだった。 「平民のクセに貴族に挨拶も無しかい?君は知らないだろうけど君を運んだのは僕なんだよ?感謝の言葉がいくらあっても足りないんじゃあ…」 「うおりゃああああ!」 ギーシュの首元にナイフを突き刺す。首を刺されたギーシュはそのまま絶命した。 一応言っておくが男は殺しが好きな訳ではない、ただ目撃された以上消しておかねば後々不利になるからだ。 もっとも魔法で探知されるかもしれない危険性もあったが、そんなあるかどうかも分からない事で躊躇するほど男は殺しが嫌いな訳でもない。 ギーシュをちょっと見つかりそうに無い所まで運び、ナイフを抜いた。傷口にマントを当てて血が床に流れないようにする。 そして寮になっている塔を出て、馬小屋を見つけ、馬に鞍をつけトリステイン魔法学院を脱出した。 その後は特に語るほどの事は無い。数年の旅を経て金鉱を見つけ、男はある財団を結成した。それだけだ。 その名は『スピードワゴン財団』 ギーシュ―死亡 ルイズ―使い魔がいなくなったため退学。後にゲルマニアで金を使い貴族になったスピードワゴンに会うが、覚えていなかった。
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逆に考える使い魔-1 逆に考える使い魔-2 逆に考える使い魔-3 逆に考える使い魔-4 逆に考える使い魔-5 逆に考える使い魔-6 逆に考える使い魔-7 逆に考える使い魔-8 逆に考える使い魔-9 逆に考える使い魔-10
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究極の使い魔-1
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第一部『ゼロのルイズ』 ■ DIOが使い魔!?-1~10 ├ DIOが使い魔!?-1 ├ DIOが使い魔!?-2 ├ DIOが使い魔!?-3 ├ DIOが使い魔!?-4 ├ DIOが使い魔!?-5 ├ DIOが使い魔!?-6 ├ DIOが使い魔!?-7 ├ DIOが使い魔!?-8 ├ DIOが使い魔!?-9 └ DIOが使い魔!?-10 ■ DIOが使い魔!?-11~20 ├ DIOが使い魔!?-11 ├ DIOが使い魔!?-12 ├ DIOが使い魔!?-13 ├ DIOが使い魔!?-14 ├ DIOが使い魔!?-15 ├ DIOが使い魔!?-16 ├ DIOが使い魔!?-17 ├ DIOが使い魔!?-18 ├ DIOが使い魔!?-19 └ DIOが使い魔!?-20 ■ DIOが使い魔!?-21~30 ├ DIOが使い魔!?-21 ├ DIOが使い魔!?-22 ├ DIOが使い魔!?-23 ├ DIOが使い魔!?-24 ├ DIOが使い魔!?-25 ├ DIOが使い魔!?-26 ├ DIOが使い魔!?-27 ├ DIOが使い魔!?-28 ├ DIOが使い魔!?-29 └ DIOが使い魔!?-30 ■ DIOが使い魔!?-31~40 ├ DIOが使い魔!?-31 ├ DIOが使い魔!?-32 ├ DIOが使い魔!?-33 ├ DIOが使い魔!?-34 ├ DIOが使い魔!?-35 ├ DIOが使い魔!?-36 ├ DIOが使い魔!?-37 ├ DIOが使い魔!?-38 ├ DIOが使い魔!?-39 └ DIOが使い魔!?-40 ■ DIOが使い魔!?-41~48 ├ DIOが使い魔!?-41 ├ DIOが使い魔!?-42 ├ DIOが使い魔!?-43 ├ DIOが使い魔!?-44 ├ DIOが使い魔!?-45 ├ DIOが使い魔!?-46 ├ DIOが使い魔!?-47 └ DIOが使い魔!?-48 第二部『ファントム・アルビオン』 ■ DIOが使い魔!?-49~50 ├ DIOが使い魔!?-49 └ DIOが使い魔!?-50 ■ DIOが使い魔!?-51~60 ├ DIOが使い魔!?-51 ├ DIOが使い魔!?-52 ├ DIOが使い魔!?-53 ├ DIOが使い魔!?-54 ├ DIOが使い魔!?-55 ├ DIOが使い魔!?-56 ├ DIOが使い魔!?-57 ├ DIOが使い魔!?-58 ├ DIOが使い魔!?-59 └ DIOが使い魔!?-60 ■ タバサの安心・キュルケの不安 ├ タバサの安心・キュルケの不安-1 ├ タバサの安心・キュルケの不安-2 ├ タバサの安心・キュルケの不安-3 ├ タバサの安心・キュルケの不安-4 ├ タバサの安心・キュルケの不安-5 └ タバサの安心・キュルケの不安-6 ■ 親友 ├ 親友-1 ├ 親友-2 └ 親友-3 外伝 ~『恋愛貧乏、モンモランシー』~ 外伝~オスマンの過去~-1
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影の中の使い魔-1 影の中の使い魔-2 影の中の使い魔-3 影の中の使い魔-4 影の中の使い魔-5 影の中の使い魔-6 影の中の使い魔-7 影の中の使い魔-8 影の中の使い魔-9 影の中の使い魔-10 影の中の使い魔-11 影の中の使い魔-12 影の中の使い魔-13 影の中の使い魔-14
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「おお、ルイズが目を覚ましたぞ!」 「よかったよかった」 目を覚ましたルイズの目に、ギーシュとマリコルヌの顔が飛び込んでくる。 「わたし……どうして?」 思わず呆けた声を出してしまう。状況が全く理解できない。 「出航直前に、あのロマリオの神官が、眠っている君をこの船に連れてきたんだ」 「……ここ、船の上?そ、そうだわ!敵軍を止めなきゃ!」 ギーシュとマリコルヌは、怪訝な顔でルイズを見つめた。 「敵軍を止める?」 「これはロサイスを出航する最後の船だよ。撤退は間に合ったのさ!」 「……え?」 わけがわからない、迫ってくるアルビオン軍はどうしたというのだ? 「そうそう、あの神官、君が目覚めたらこの手紙を渡してくれって」 「手紙?」 ギーシュから手紙を受け取ったルイズは、そこに彼女の使い魔の名前が書かれている事に気付く。 「……そうだわ、あいつはどうしたの!?」 「あいつって……君の使い魔かい?この船には乗ってないけど……」 マリコルヌの言葉に、ルイズはいいようのない不安を感じ、手紙を開く。 死にゆく使い魔 ルイズ、お前がこれを読んでいるのは、撤退する船の上でだと願う。 ルイズ、以前俺は不思議な『能力』をもっていると話したことがあったよな? お前は信じなかったが。 無理も無いな、死んでから始めて発動する『能力』なんて。 だがあれは嘘じゃない。 俺の能力、『スタンド』というのは、その人間の精神と深くかかわっている。 だからかな?俺が使ったことも無い『スタンド』の力が分かるのは? そう、俺の精神はその能力に相応しかった。 世の中の全てを、自分自身をも憎んで、そして全てをぶっ壊したかった。 そんな俺が犯罪組織に入ったのも、自然な事だった。 その組織の入団テストで『スタンド』に目覚めた時、俺が何を考えたか分かるか? 絶望?恐怖? いや、それは歓喜だった。 嘘じゃない、思わず笑い出してしまったほどさ。 自分の命と引き換えに、このクソったれの世界を壊しまくる力。 これこそが俺の求めていた物だと、本気で思った。 俺の力を知った組織のボスは、俺を切り札として温存させる事に決めたようだった。 何もしなくても金が入ってきたからな。 ボス自身、俺をどう使うか決めあぐねていたかもしれない。 そりゃそうだ、俺自身、俺の『スタンド』の止め方が分からないんだからな。 それで俺は、俺の『スタンド』の出番が何時来るか、楽しみにしながら待ってた。 別に、勝手に力を使ってもよかったが、『スタンド』に目覚めさせてくれた『恩』を別に感じたわけじゃないが、俺の力を使えと言ったボスが、俺の『スタンド』に殺されるかもと考えると、愉快でたまらなかった。 そんなことを考えるのは、俺にとってなによりも楽しい事であり、それだけしか俺の心は動かなかった。 そして、ついにその『時』が来た。 ボスから裏切り者を消せと指令が来た。 最初で最後の指令。 いざその時になって、俺は笑ったと思うか?それともやっぱり恐くなったか? いや、なんにも無かった。 恐くもねえが、嬉しくもねえ。 自分でも不思議だったが、とにかく待ちに待った瞬間なことに間違いない。 俺は指令通り裏切り者達の所に行き、俺に鉛弾を打ち込んだクソ野郎を恨みながらスタンドを発動させ、死んだはずだった…… しかしなんの因果か、次に気付いた時、俺はお前の使い魔になっちまってた。 全く、ひでえ事になったと、思ったぜ。 くだらねえ人生からおさばらできたと思ったら、しょうもないワガママ娘の世話をさせられるハメになったんだからな。 何故俺が、小娘の下着なんぞ洗濯しなきゃならんのだ? 何故あのマンモーニに、一方的に因縁つけられて決闘せんといかんのだ? 何故勝手に意地を張るお前を、ゴーレムからを守る必要がある? 何故お前を騙したあの馬鹿子爵に怒りを感じちまうんだ? 数えあげたらキリがねえ…… けどな、お前たちと一緒にすごすようになって、なんであの時、俺が何も感じなかったのか気付いたんだ。 俺はこれまでの人生で本当の意味で『生きて』いなかった。 そしてなんで俺が世界をぶっ壊したかったか分かった。 俺は『生きている』奴らがうらやましかったんだ。 俺は『生きよう』とすらしてなかったのにな。 だが今はもう違う……俺は今『生きて』いる。 おかげで恐くて恐くてしかたがねえんだぜ? なんせ今から7万の軍勢に立ち向かわんなきゃならんからな。 たぶん、いや確実に俺はスタンドを発動させるだろう…… ルイズ、お前に頼みがある。 俺の『スタンド』を殺して欲しい。 そのままにしておけば、俺の『スタンド』は全てを食い尽くすかもしれん。 心配は要らない。 なんでかわからんが、今の俺は無敵だと思っていた俺の『スタンド』の弱点が分かる。 あと……お前の虚無でも、たぶんやれると思う。 いや、お前にならやれる!絶対にだ! なあ、ルイズ。 お前には礼を言っても言い切れない。 俺は生まれながらの死人だった。 たちの悪い事に、生者の輝きを憎む死人だった。 でもな、俺はやっと生きるという事と、人生の素晴らしさを理解できたんだ。 ありがとうルイズ。 そしてさようなら、俺の愛しいご主人様 君の使い魔だったカルネより 「なによ……これ?」 涙で視界が歪む。 「なあ、その手紙は何が書いてあるんだい?ルイズ? ど、どうしたんだい、何を泣いて……」 「カルネ!」 ルイズは絶叫すると、柵を飛び越えて、地面に飛び降りようとした。 「お、おい!死ぬ気か?」 「おろして!お願い!」 半狂乱になって暴れるルイズを、必死で止めるギーシュとマリコルヌ。 「無理だよ!下にはもう、味方はいないんだ!」 「おろして……!」 ルイズの絶叫が、遠ざかるアルビオンに向けて響いた。 「相棒が……相棒がいっちまった…」 トリスタニア軍がいなくなったロサイスの郊外で、デルフリンガーが一人寂しげにつぶやいた。 痛い苦しい熱い冷たい死にたくない今すぐ逃げてしまいたい 「そうはいかねえよな…」 致命傷を何度も受けたカルネがつぶやいている間にも、次々と魔法が飛んでくる。 伝説のガンダールヴの力といえども、もう限界らしい。 もっとも適当に失敬してきたナマクラはとっくの昔にへし折れてるが。 「いよいよか……」 一際大きい火球が迫り来る中、カルネはあらん限りの力で叫ぶ。 「ノトーリアス・B・I・G!」 死にゆく使い魔 ~完~ 戻る
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